「世界のフナイ」とも呼ばれた電機メーカー・船井電機を取り上げます。
2024年10月31日、船井電機が破産手続きで2000人を一斉解雇と報じられました。
ですが2024年11月12日、代表取締役会長の原田義昭元環境相が、決定の取り消しを申し立てたことが報じられています。
いったい何があったのでしょうか?
今回は、船井電機・倒産寸前に何があったのか時系列で調査します。
船井電機とは
初めに結論からお伝えします。
「船井電機・倒産寸前に何があったのか?」についてですが、
創業者の死去後2021年5月に船井電機は秀和システムの傘下に入り上田智一氏が代表取締役に就任。
2023年4月に船井電機はミュゼプラチナムを買収したが、約22億円の負債を抱え1年後に売却。船井電機はミュゼの連帯保証をしており、9月にネット広告会社から船井電機株の仮差し押さえをされた。
多額の未払い債務が発覚した前後から、役員の入れ替わりが激しくなり、同月には上田智一氏が代表取締役社長を突如辞任し、翌月には東京地裁から破産手続が開始(負債総額約461億円)。さらに11月には原田義昭代表取締役会長が、決定の取り消しを申し立てた
2020年に518億あった純資産は、わずか4年で消滅しました
船井電機の概要
船井電機の概要をご紹介します。
- 船井電機は創業者の船井哲良氏(2017年没)が興したミシンの卸問屋が源流で、ラジオの製造部門が独立する形で1961年に設立。
- 低価格帯のテレビなどを販売するビジネスモデルで事業を展開。1997年には米小売り大手ウォルマートと取引を開始し、特に北米市場での業績を急拡大し、2000年には東証1部市場に上場。
- ビデオ内蔵型の「テレビデオ」は市場を席巻し、ピーク時の2005年3月期の売上高は単体で約3535億円に。
- 創業者である社長の船井哲良氏が大株主で、2005年の米フォーブス誌の長者番付では、個人資産は約2700億円。
- 2006年にヤマダ電機と業務提携
- 2008年に船井哲良氏は会長に就任。2016年には相談役に退き2017年に死去。
これが出た時。みんな
「テレビとビデオが一体化!これは神だ!神のアイテムだ!!」
ってなってたが。彼らは知らない。この数年後にテレビかビデオの片方が壊れ、修理に出す間テレビそのものが部屋から無くなるということを…… pic.twitter.com/GES8QszwFh— 咲来さん@ (@sakkurusan) November 12, 2024
20年前のトップへのインタビュー記事再掲です。
「サムスンやLGにも負けない」船井電機・船井哲良社長が2003年に語った未来:日経ビジネス電子版 https://t.co/6n7foulKA0
— アーバンdev (@urbandevelopm17) October 26, 2024
創業者の死去後
創業者船井哲良氏の死去後、長男の船井哲雄氏が船井電機株の34.18%を相続しました。
創業者の船井哲良は17年7月4日、肺炎のため90歳で亡くなり、長男の船井哲雄が船井電機株の34.18%を相続した。哲雄は北海道の旭川医科大学卒業の呼吸器外科の医師で、当時、旭川十条病院の院長。引用:https://www.data-max.co.jp/article/74681
長男の哲雄氏は医師で、当時旭川十条病院の院長。船井電機の後継者ではないようです。
そのため、2017年からは父親が遺した船井電機の経営を託す相手を探すために奔走します。
船井電機が倒産寸前!何があったのか時系列で調査
創業者の死去後、船井電機の倒産寸前までの経過は、以下のとおりです。
- 2019年8月、船井電機長男が顧問の坂東浩二氏に相談
- 2019年9月、上田智一氏の登場
- 2021年5月、船井電機は秀和システムの傘下に。同年7月に上田智一氏が代表取締役社長に就任
- 2021年8月、船井電機は上場廃止
- 2023年3月、船井電機・ホールディングス株式会社に社名変更
- 2023年4月、脱毛サロン大手「ミュゼプラチナム」を買収
- 2023年6月、元パナソニック専務の柴田雅久氏が代表取締役会長に就任
- 2024年3月、船井電機はミュゼを売却
- 2024年4月、柴田雅久氏が代表権が外れ(現在は取締役副会長)
- 2024年9月、船井電機はミュゼを売却、ネット広告会社は船井電機株の仮差し押さえを東京地裁に申請し、9月に認められた
- 2024年9月27日、上田智一氏が代表取締役社長を突如辞任
- 2024年10月、原田義昭元環境相が代表取締役会長に就任。新たな代表取締役社長には財務省理財局次長、日本政策金融公庫専務などを務めた上野善晴氏が就任
- 2024年10月、東京地裁から破産手続開始。夫妻総額約461憶円(2024年3月期末)従業員2000人解雇
- 2024年11月、原田義昭元環境相が、決定の取り消しを申し立てた
一つずつ見ていきましょう。
2019年8月、坂東浩二氏に相談
船井電機創業者・長男の哲雄氏は、2019年8月に船井電機の顧問であった坂東浩二氏に経営を任せたいと相談。
船井電機の公表資料によると、哲雄は株式を相続した17年から、父親が遺した船井電機の経営を託す相手を探した。いくつかのファンドと接触したが信頼関係を築くことができなかった。
19年8月30日、船井電機の顧問であった坂東浩二に、経営を任せたい、そのために、哲雄自身が保有する株式を譲り渡す意向がある旨を相談した。
2019年9月、上田智一氏の登場
2019年9月に坂東氏は、ビジネスを通じて付き合いのあった秀和グループの上田智一氏に話を持ち掛けました。非上場化して中長期的な視点で経営改善に取り組み、船井電機の事業展開を行う運びとなりました。
船井電機は秀和によるTOB(株式公開買い付け)によって上場廃止となり、秀和の傘下に入ることで合意します。
坂東は、19年9月上旬、ビジネスを通じて付き合いのあった秀和グループの上田智一に話を持ち掛けた。坂東と上田は、上場を維持しながら再成長に取り組むのは最善の策ではないと考えた。非上場化して、中長期的な視点で経営改善に取り組むことで、今後の船井電機の事業展開を行ったほうがいいという認識で一致した。20年6月、坂東と上田は船井哲雄との協議で、船井電機を非上場化することで合意した。引用:https://www.data-max.co.jp/article/74681
秀和システムの傘下に入る前、2020年度の時点では「現金が349億円、借入は1.8億円、純資産は518億円」あったと報じられています。
同社は2020年度の時点では、全盛期からはだいぶ落ちたとはいえ売上804億円あり、営業損失は3億円、最終損失は1200万円と赤字ではあったものの、現金が349億円、借入は1.8億円、純資産は518億円と、食い潰せる過去の遺産はまだまだ潤沢にありました。
ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/company/post_384474.html
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2021年5月、船井電機は秀和システムの傘下に
2021年5月には、船井電機は秀和システムの傘下になり、
2021年5月14日、秀和システムの完全子会社である秀和システムホールディングスが、株式公開買付けにより47.05%の株式を取得。船井電機株式は同年8月26日に上場廃止となり、同年8月30日に実施された株式併合により、株主が秀和システムホールディングスと船井哲雄のみとなった
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%B9%E4%BA%95%E9%9B%BB%E6%A9%9F
同年7月には、
「NTTぷらら」の創業者・板東浩二氏が船井電機の会長兼社長に就任。
秀和システムの会長兼社長・上田智一氏が代表取締役に就任しました。
また経営トップも一新し、船越秀明社長の後任に、インターネット提供会社「NTTぷらら」の社長を長年務めていた板東浩二氏(67)が28日付で就任。秀和システムの会長兼社長である上田智一氏(47)も代表取締役に就いた
そして2021年8月、船井電機は上場廃止へ。
2021年5月、船井電機は秀和システムの傘下に入り、上田氏は同年7月に代表取締役社長に就任。8月に船井電機は上場廃止となりました」
引用:文春オンライン
2022年6月、上田智一氏が代表取締役社長へ
取締役就任から約1年後の2022年6月30日、
坂東浩二代表取締役会長兼社長が退任し、名誉会長に就任。後任として上田智一取締役が代表取締役社長に昇格しています。
船井電機は、6月30日開催の定時株主総会で、坂東浩二代表取締役会長兼社長(68)が退任し、名誉会長に就任。後任として上田智一取締役(48)が代表取締役社長に昇格した。
2023年3月、船井電機・ホールディングス株式会社に社名変更
2023年3月、持株会社制に移行し「船井電機・ホールディングス株式会社」に社名変更。
船井電機HDの傘下として「船井電機」が設立され、不動産を除く旧船井電機のすべての事業が継承されました
2023年3月、持株会社制に移行し、「船井電機・ホールディングス株式会社」に社名変更。船井電機HDの傘下として「船井電機」が設立され、不動産を除く旧船井電機のすべての事業が継承された。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%B9%E4%BA%95%E9%9B%BB%E6%A9%9F
2023年4月、ミュゼプラチナムを買収
2023年4月、船井電機・ホールディングスは「事業の多角化」をかかげ、脱毛サロン大手「ミュゼプラチナム」を買収。
2023年4月、船井電機・ホールディングスは脱毛サロン「ミュゼ」を展開するミュゼプラチナムを買収。テレビ事業の成長余地は限られていることから、美容事業を新たな柱とする考えであったが、1年弱で売却
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%B9%E4%BA%95%E9%9B%BB%E6%A9%9F
2023年6月、柴田雅久氏代表取締役会長に就任
2023年6月、元パナソニック専務の柴田雅久氏が代表取締役会長に就任
2023年10月執行役員体制をリリース
2024年3月、ミュゼプラチナムを売却
巨額の広告費を投入し、知名度を上げていきましたがネット広告会社に対し、約22億円の負債を抱え売却。
同社は巨額の広告費を投入し、知名度を上げていましたが、その裏でネット広告会社に対し、約22億円の負債を抱えていたのです。
引用:文春オンライン
船井電機、300億円流出 出版社による買収後、現預金ほぼ尽きる – 産経ニュースhttps://t.co/Z2eK8TraTx
ミュゼへの支援などで資金繰りが急速に悪化。約300億円が流出し、今年3月末に約347億円あった現預金は「ほぼ尽きた」という。— 産経ニュースWEST (@SankeiNews_WEST) October 30, 2024
多額の未払い債務が発覚した前後から、役員の入れ替わりが激しくなっていきます。
2024年4月、柴田雅久氏が会長を外れる
柴田雅久氏は代表権を外れ、現在は取締役副会長になっています。
2024年5月には「素性不明の役員が3名入ってきた」と報じています。
「今年5月に素性不明の役員が3名入ってきたので、こういった人物が中に入ってきてしまうのを許してしまった会社の体制というのも問題なのかなと」
「担当記者ですら素性の分からない人間が、社内に周知されることもなく突然経営に入ってきた」と話します。
素性不明の役員についてですが、公表されていません。
いったい何者なんでしょうね。。。
2024年9月、船井電機株が仮差し押さえ
2024年9月、船井電機・ホールディングスはミュゼを売却していましたが連帯保証をしていました。
債務返済は一向に進まず、ネット広告会社が船井電機株の仮差し押さえを東京地裁に申請し、9月に認められています。
ミュゼが約22億円の未払い債務を抱えていることが判明。相手先は藤田晋氏のサイバーエージェント系のサイバー・バズ(髙村彰典社長)だった。サイバー・バズは債務支払いを求める裁判を起こしたが、その過程で、船井電機は、持株会社の船井電機・ホールディングス(船越秀明社長)が持つ船井電機株を仮差押えされた。会社ごと借金のカタに取られるような情況に陥ったのだ。
2024年9月27日、上田智一氏が代表取締役社長を突如辞任
【経済ニュースの核心/小林佳樹】
船井電機の先行きは不透明に…株式は仮差し押さえ、上田智一社長が不可解な辞任 https://t.co/pOGMejCZM4 #日刊ゲンダイDIGITAL#経済ニュース— 日刊ゲンダイDIGITAL (@nikkan_gendai) October 11, 2024
広告会社への未払いにより子会社・船井電機の株式の大半差し押さえられるなどの経営上の混乱の中、
上田智一社長が9月27日付で、親会社の船井電機・ホールディングス(HD)の代表取締役をはじめ、グループ企業の全ての役職も退いたと報じられました。
なお、理由は明らかにしていないようです。
船井電機(大阪府大東市)は2日、上田智一社長(51)が9月27日付で退任したことを明らかにした。親会社の船井電機・ホールディングス(HD)の代表取締役をはじめ、グループ企業の全ての役職も退いた。理由は明らかにしていない。
後任は、古寺誠一朗氏が9月27日付で就任したことが11月12日に報じられました
船井電機(大阪府大東市)の親会社、船井電機・ホールディングス(HD)の代表取締役に古寺誠一朗氏が9月27日付で就任したことが12日、分かった。古寺氏は船井電機HDの代表取締役を9月27日付で退任した上田智一氏の後任になる。
引用:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF125UX0S4A111C2000000/
2024年10月、原田義昭元環境相が代表取締役会長に就任
2024年10月、原田義昭元環境相が代表取締役会長に就任。
2024年10月、東京地裁から破産手続開始
【負債461億円】船井電機、破産手続き開始決定 帝国データバンクhttps://t.co/7Zrwwd5Gap
帝国データバンクによると、テレビ製造などを手掛ける船井電機(大阪府大東市)が24日、東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。負債額は461億5900万円。 pic.twitter.com/CZTljCiXLj
— ライブドアニュース (@livedoornews) October 24, 2024
2024年10月24日、同社取締役の一人が取締役会の決議を経ない「準自己破産」を東京地裁に申し立てました。
約117億円の債務超過に陥り、現預金もほぼ底をついたと地裁に報告していて、緊急性があると判断され破産手続きの開始が即日決定しています。
船井を巡っては、同社取締役の一人が同24日、取締役会の決議を経ない「準自己破産」を東京地裁に申し立て、破産手続きの開始が即日決定した。約117億円の債務超過に陥り、現預金もほぼ底をついたと地裁に報告していて、緊急性があると判断された。
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/d47a61330f08471b0cebb80236930eb06af86935
負債総額約461憶円(2024年3月期末)従業員2000人解雇と報じられています。
船井電機は2020年の時点では、純資産は518億ありました。ですがわずか4年で消滅しています。
同社は2020年度の時点では、全盛期からはだいぶ落ちたとはいえ売上804億円あり、営業損失は3億円、最終損失は1200万円と赤字ではあったものの、現金が349億円、借入は1.8億円、純資産は518億円と、食い潰せる過去の遺産はまだまだ潤沢にありました。
ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/company/post_384474.html
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2024年11月、破産手続き決定の取り消し
【主張】船井電機の破産、会長が取り消しを申し立て 「債務超過ではない」https://t.co/eWPWaLbwIh
船井の幹部は「色んな人が会社のお金を抜く行為も起こっていた」と準自己破産申請に踏み切った理由を説明。一方、代表取締役会長だった原田義昭氏は「債務超過でも支払い不能でもない」と話した。 pic.twitter.com/Bg2JfomK3u
— ライブドアニュース (@livedoornews) November 12, 2024
原田義昭会長が、「破産手続き決定の取り消し」を申し立てたことが報じられました。
10月30日付で、「債務超過でも支払い不能でもない」と主張しているとのこと。
破産手続きの開始決定が出されたAV機器メーカー船井電機の代表取締役会長だった原田義昭元環境相(80)が、決定の取り消しを申し立てたことが原田氏らへの取材でわかった。10月30日付で、「債務超過でも支払い不能でもない」と主張。
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/d47a61330f08471b0cebb80236930eb06af86935
10月24日に行われた従業員向け説明会では、準自己破産申請に踏み切った理由を、船井の幹部が「いろんな人が会社のお金を抜く行為も起こっていた」などとも伝えていたようです。
同24日にあった従業員向けの説明会では、船井の幹部が「いろんな人が会社のお金を抜く行為も起こっていた」などと、準自己破産申請に踏み切った理由を伝えたという。
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/d47a61330f08471b0cebb80236930eb06af86935
原田義昭元環境相は、「支払い能力を立証して決定を取り消させ、企業再生の道筋をつけたい」と。
また近く、民事再生法の適用も申請する方針としています。
原田氏は取材に対し、「全従業員をいきなり解雇というのはひどい話で、そうせざるを得ない状況ではなく支払い能力はある。それを立証して決定を取り消させ、企業再生の道筋をつけたい」と話す。近く、民事再生法の適用も申請する方針という。
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/d47a61330f08471b0cebb80236930eb06af86935
2024年5月の「素性不明の役員3名」や、「いろんな人が会社のお金を抜く行為も起こっていた」と言われていることから、事業悪化による単なる企業の破産ではないことがわかりますね。
お読みいただきありがとうございました。
今後の船井電機の行く末に注目していきたいですね。
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